イメージベース構造解析ソフトウェア
VOXELCON

ユーザー事例:三菱マテリアル株式会社 様
CT画像を用いた発泡金属のマクロ特性評価

■概要

近年、発泡金属の構造制御が可能となり、機能材料や構造材として、様々な分野で利用されています。

ここでは、実験の代替として、発泡チタン積層材のミクロ構造をCT撮像したデータを用いて、VOXELCONの均質化解析機能を用いて、マクロ特性を評価した事例をご紹介します。

なお本事例は、三菱マテリアル株式会社様 のご研究を、ご厚意で紹介させて頂いたものです。

■評価サンプル

チタン製発泡金属

厚さ2mmのシート状単層材を接合した積層材(気孔率:80%、気孔径:約300μm)

■モデリング

CT撮像を行い、得られた断層画像をVOXELCONに読み込んで、3Dモデリングを行います。

構築した3Dモデルから、2mm角領域を解析領域として抽出します。

サンプリングされた領域をもとに、ボクセルモデルを生成します。

物性値(チタン)
ヤング率 105 [GPa]
ポアソン比 0.33

■等価物性値算出

VOXELCONの均質化解析機能により、等価物性値を算出します。

等価弾性率(異方性物性値) [GPa]

  X Y Z XY YZ ZX
X 3.37E+00 9.80E-01 4.02E-01 -5.05E-03 1.84E-02 -1.70E-02
Y   3.51E+00 4.37E-01 -6.76E-02 4.29E-02 4.98E-03
Z     1.92E+00 -7.04E-04 4.36E-02 1.29E-02
XY       1.22E+00 1.91E-02 -2.04E-03
YZ         6.41E-01 -4.65E-03
ZX           6.28E-01

直交異方性を仮定した場合の等価工学定数 [GPa]

Ex Ey Ez Vxy Vyz Vzx Gxy Gyz Gzx
3.06 3.16 1.84 0.26 0.17 0.09 1.22 0.64 0.63

※計算時間:17時間53分(Intel Core2 2.66GHz×4並列)

■実験結果との比較

既往の実験結果との比較により、CT画像を用いた均質化解析の妥当性を検証しました。

※実験については、以下の論文を参照
K. Kato, A. Yamamoto, S. Ochiai, Y. Daigo, T. Isobe, S. Matano, K. Omori, Cell Proliferation, Corrosion Resistance and Mechanical Properties of Novel Titanium Foam with Sheet Shape (Materials Transactions, Vol. 53, No.4 (2012) pp. 724 to 732)

■ミクロ応力解析

ミクロ応力分布

仮想的にZ方向に1.0MPaのマクロ応力を負荷し、ミクロ応力分布を算出します。

変形アニメーション

※モデル外縁部10%はカットした内部を表示しています。

チタン製発泡金属の変形動画s  

■まとめ

現物をCT撮像して得られた画像からモデリングし、均質化解析を行った事例を紹介しました。

線形範囲において、均質化解析で得られた等価物性値と、気孔率の近い既往の実験結果とを比較しました。特に面内方向と積層方向のヤング率の比率は良く一致しており、ミクロ構造の特性を反映した均質化解析結果を得られることが確認できました。

数値解析を利用することで、任意のマクロ応力に対するミクロ応力分布など、実験では得られない知見を得ることも可能であり、実験の補完手段としての利用が期待できます。


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