構造最適設計ソフトウェア
OPTISHAPE-TS
事例4 複数の縮約モデルを使用した形状最適化
■概要
リンクのような機構を持つ機械部品では、その動作状況により周辺部品の配置が変化し、それによってその機械部品が受ける力学条件も変化する場合があります。
そのような機械部品を設計する場合には、複数の力学的条件を同時に考慮する必要があります。 OPTISHAPE-TS では、このような複数の力学的条件を同時に考慮した最適化を行うための各種機能が用意されています。
ここでは複数の縮約モデルを使用して、それらを切り替えながら解析することで複数の力学条件を同時に考慮した形状最適化を行う方法をご紹介します。
■解析モデル
下図のような二つの姿勢でそれぞれ荷重を受けるリンク部品の形状最適化解析を行います。
縮約解析には Nastran を使用します。
荷重条件・拘束条件
モデルは三つの領域に分けて作成します。
■モデルの縮約
二つの縮約領域モデルは、それぞれ Nastran を使用して縮約解析を行います。縮約されたデータを設計領域モデルに組み込み、 OPTISHAPE-TS で形状最適化解析を行います。
縮約されたデータを組み込むことで、縮約領域が存在する時と等価な剛性が付加されます。
これをサブケース毎に切り替えることで、非設計領域の姿勢毎の剛性の変化を考慮しながら形状最適化を行うことができます。
■最適化条件
初期形状での剛性を保ちつつ、製造要件を加味しながら軽量化を行う。
- 要素数 : 38,625
- 節点数 : 72,630
- 目的 : 体積最小化(= 軽量化)
- 制約条件 : 荷重ケース1、2での初期剛性を維持
- その他製造要件にかかわる制約 :最小肉厚の指定,型抜き
型抜き制約
製造要件を満たすように型抜き方向を設定します。
■結果
各種の制約を満たし、軽量化された形状が得られました。
※最適化繰返し回数: 50回.
!約27%の軽量化を達成!
初期形状 | 最適化形状 | |
---|---|---|
荷重ケース1の変位 [mm] |
0.018306 | 0.018085 |
荷重ケース2の変位 [mm] |
0.059489 | 0.058642 |
体積 [mm3] |
85233.35 | 62372.8 |
■考察
結果形状を見ると断面が I 型になっており、与えられた型抜き方向、最小肉厚の中で効率の良い形状が得られていることが分かります。
今回は、複数の縮約モデルをサブケース毎に切り替えることで、複数の力学条件を考慮した形状最適化解析を行いました。OPTISHAPE-TS では、この他にも無効要素指定機能を使って、同様の形状最適化を行うことができます。
縮約モデルを使用する場合は、OPTISHAPE-TS に先立って縮約解析を行う必要がありますが、OPTISHAPE-TS の実行に必要なメモリー、計算時間は少なくなります。一方、無効要素指定機能を使用する場合、メモリーと計算時間は余分に必要となりますが、縮約解析を必要としませんので、適宜使い分けると良いでしょう。
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