汎用パラメーター最適化ソフトウェア
AMDESS
事例7 多数個取りランナー径の最適化
■概要
一般に、長さの等しいランナーでも内回りと外回りで流動長が異なるため、充填のアンバランスが発生します。
ここでは、 AMDESS と 3D TIMON* を連携してランナー径を最適化し、充填バランスを改善する例をご紹介します。
※ 3D TIMON は東レエンジニアリング株式会社が開発したプラスチック射出成形CAEソフトウェアです。
■背景
充填バランスが悪いと、多数個取り金型の製品品質がばらつき、歩留まりが悪くなってしまいます。
例えば、16個取り製品のうち、不良品が4個発生 ⇒ 不良率 約25%。
この不良率から様々な面で1か月(20日)分の損失を計算すると…
- 樹脂費 112,500円
- 成形機使用費 220,000円
- 人件費 40,000円
- 時間 40時間 ...各損失の詳細はこちら
合計損失金額 372,500 円/月
(時間の損失は含まず)
不良品発生の原因
- 充填のアンバランスが発生し、各成形品で品質が異なっている
- 16個中で内側4個の製品にバリが発生
上記の不良品4個を改善させると外側の12個の製品でヒケやショートが発生した。
ショートショットを確認すると、内側製品が先に充填されている事が確認できた。
充填がアンバランス ⇒ 各成形品の品質に差が発生 ⇒ 歩留まり悪化
★★★コメント★★★
ほとんどのCAEソフトでは、ビーム要素で流動距離の差異を表現できないため、アンバランスを再現する際にはランナーをソリッド要素でモデリングする必要があります。
そのため、解析コストが増大し時間がかかってしまいます。
それに対し、3D TIMON はビーム要素でもアンバランスを再現することができるので、短時間で充填解析が可能です。
上記の理由から、AMDESS と 3D TIMON を連携して、品質のバラつきを無くし、同時充填が可能となる最適なランナー径を求めます。
■解析モデル
下図のような16個取り製品を想定。
■最適化条件
設計変数
- ランナー径 (1)~(4)
- φ4.5~6.5[mm]の範囲
目的関数(応答)
キャビティ(a)~(d)の最終充填時間の分散Vの最小化
■結果
※ クリックすると大きく表示します。
充填パターン比較
圧力比較
充填時最大圧力
現 状:158 MPa
改善後:153 MPa
充填完了時圧力分布
■考察
ランナー径を最適化したことにより、各製品で同時に充填され、製品間のバランスが改善しました。
また、最適化後の圧力分布も各製品で均等になり、最大圧力も下げることができました。
最終充填時間の分散(ばらつき)については、
となり、分散は2乗で影響するので、劇的な効果が得られました。
このことから、問題になっていた中央製品4個の品質が改善され、歩留まりが良くなったことにより、当初懸念していた損失金額 372,500円/月を削減することができました。
その他効果も含め、以下6つの効果が得られました。
- 歩留まり改善
- 使用樹脂量低減
- サイクル短縮
- 人件費削減
- 納期短縮
- 新規製品の受注
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