汎用パラメーター最適化ソフトウェア
AMDESS

事例5 熱伝達係数の同定

■概要

熱伝達係数は周囲の環境に依存し、さらに物質によって一意でないため、値を決定することが困難です。

もし、計測結果を再現する熱伝達係数が同定できれば、同様の環境下の別のモデルでも良好なシミュレーション結果を得られることが期待されます。

ここでは、AMDESSとNastranを連携させ、熱伝達係数を同定する例を紹介します。

■解析モデル


  • 6面に熱伝達境界を設定
    ⇒ 設計パラメータは6つ.

  • 1面あたり4点と円筒の縁4点
    計28点の表面温度を同定


■最適化条件

設計変数

各面(h1~h6)の熱伝達係数
範囲 : 10.0~70.0 [W/m2k]

目的関数

各評価点において、目標温度からの誤差の2乗を最小化する。
 =算出される計算温度を指定した目標温度に近づける.

目的関数-数式

計算温度 目標温度 計算温度 目標温度 計算温度 目標温度 計算温度 目標温度
t1 261.1 t8 257.7 t15 263.8 t22 264.2
t2 263.3 t9 258.3 t16 263.5 t23 261.8
t3 260.6 t10 258.1 t17 261.4 t24 264.0
t4 258.2 t11 260.5 t18 258.7 t25 272.4
t5 261.0 t12 260.2 t19 261.0 t26 271.8
t6 260.8 t13 260.6 t20 263.9 t27 272.3
t7 257.9 t14 260.4 t21 262.0 t28 272.7

温度単位:℃

■結果

評価点の温度は目標の値と誤差0.3%以内で一致し、各表面の熱伝達係数を得ることができました。

表面 h1 h2 h3 h4 h5 h6
熱伝達係数 [W/m2k] 13.68 19.82 33.86 30.69 53.55 59.06

  • 目標とする温度分布
    .

  • 同定によって求められた温度分布
評価点 同定後温度 誤差 評価点 同定後温度 誤差 評価点 同定後温度 誤差
t1 261.6 -0.2 t11 259.7 0.3 t21 262.3 -0.1
t2 262.8 0.2 t12 259.5 0.3 t22 263.4 0.3
t3 260.1 0.2 t13 259.9 0.3 t23 262.1 -0.1
t4 258.8 -0.2 t14 259.8 0.2 t24 263.3 0.3
t5 261.6 -0.2 t15 263.1 0.3 t25 272.3 0.0
t6 261.4 -0.3 t16 262.9 0.2 t26 271.9 0.0
t7 258.5 -0.2 t17 261.8 -0.1 t27 272.4 0.0
t8 258.3 -0.2 t18 259.0 -0.1 t28 272.6 0.0
t9 258.5 -0.1 t19 260.3 0.3  
t10 258.4 -0.1 t20 263.2 0.3

■考察

熱伝達係数を同定し、評価点の温度を実測温度にほぼ一致させる結果が得られました。
同様の考え方で、熱伝達係数だけでなく、弾塑性解析における応力-ひずみ曲線なども同定可能です。

このように、様々な問題において、より実現象に近いCAEの計算結果を得ることができるようになります。


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