構造最適設計ソフトウェア
OPTISHAPE-TS

事例2 二輪車ロードホイールの形状最適化
~ 各種製造要件を考慮した軽量化 ~

■概要

自動車のロードホイールには、剛性、強度、振動特性等の力学的特性に加えて、各種の製造要件や意匠性までも考慮した高度な設計が求められます。

例えば、以下のような製造要件を考慮する必要があります。

  • 鋳造または鍛造で製造されることを考慮して全体の形状が概ね型抜き可能であること.
  • 鋳造時の湯流れ等を考慮して一定以上の肉厚を持つこと.
  • リム部は旋盤による機械加工を考慮して軸対称形状であること.
  • スポーク部は回転対称形状(一定回転角度毎に周期的な対称形状)であること. 
    等...

OPTISHAPE-TS のノンパラメトリック形状最適化機能では、これらの製造要件を同時に満足させながら最適化を行うことが可能です。
ここでは、二輪車ロードホイールに製造要件を考慮した事例をご紹介します。

■解析モデル

ロードホイール

初期モデル

  • 寸法 : 径600×150 (mm)
  • 要素 : 四面体二次要素
  • 要素数 : 38,625
  • 節点数 : 72,630

■最適化条件

初期形状での剛性を保ちつつ、製造要件を加味しながら軽量化を行う。

  • 目的 : 体積最小化(= 軽量化)
  • 制約条件 : 3荷重条件に対する剛性の維持
  • その他製造要件にかかわる制約 :型抜き,最小肉厚,1/3周期対称

荷重条件・拘束条件

ホイールリム部に複数荷重,及びボルト穴部分を完全拘束。

荷重条件・拘束条件

製造要件の考慮

製造要件1:鋳造や鍛造で製造されることを考慮して全体の形状が型抜き可能であること。
製造要件2:鋳造時の湯流れ等を考慮して一定以上の肉厚を持つこと.

      ⇒ 形状変動制限機能[型抜き,最小肉厚]を利用   ... 形状変動制限機能とは?

製造要件3:スポーク部は回転対称形状(一定回転角度毎に周期的な対称形状)であること.

      ⇒ MPC による形状拘束条件[1/3周期対称]を利用   ... MPC による形状拘束条件とは?


解析の流れ
上記内容から、回転対称性を保持するようなMPCを設定します。

まず、回転コピーを利用して1/3周期対称となる初期モデルを作成します。

その後、荷重・拘束条件等を付加し、Nastran データとして出力後 「ポストプロセッサ TS Studio」で回転対称保持のMPCを作成・追加します。

※「ポストプロセッサ TS Studio」を利用することで、MPCを簡単に作成することができます。


■結果

!約11%の軽量化を達成!

  • 結果形状1
  • 結果形状2 - 正面

◎MPCの形状拘束を適用しなかった場合の結果形状

  • 結果形状1 - MPCなし
  • 結果形状2 - MPCなし正面

■考察

MPCの形状拘束を適用しなかった場合の結果形状を見ると、明らかに回転対称形状が崩れていることが分かります。 一方、適用した結果では、回転対称形状を維持しながら 約11%の軽量化を達成しました。

通常、最適化解析では制約条件が厳しいほど目的関数の減少率は小さくなります。
この傾向は OPTISHAPE-TS のノンパラメトリック形状最適化でも同様ですが、設計自由度が大きいために、製造要件等の制約が多くても比較的大きな軽量化を達成することができました。


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